高松高等裁判所 昭和25年(う)1074号 判決
原判決によれば、「法律に照すと判示所為中医業を行つた点は医師法第十七条、第三十一条に、施用のため麻薬を交付した点は麻薬取締法第三条第一項、第五十七条に該当するからいずれも所定刑中懲役刑を選択し、右は一個の行為であつて数個の罪名に触れる場合であるから、刑法第五十四条第一項前段、第十条を適用して麻薬取法違反の罪の刑に従い、その所定刑期の範囲内で被告人を懲役四月に処し」云々と記載されてあつて、刑法第五十四条第一項前段にいわゆる「一個ノ行為ニシテ数個ノ罪名ニ触レ」る場合に各罪につき懲役刑を選択していることは所論のとおりである。そもそも刑法第五十四条第一項前段にいわゆる「一個ノ行為ニシテ数個ノ罪名ニ触レ」る場合には、同条及び同法第十条の規定に従つて重きに従つて処断することを要し、各罪につき処断すべき刑を選択すべきではない。しかるに原判決は前敍の如く各罪に懲役刑を選択しているのであるから刑法の適用を誤つた違法があるというべきである。しかしながら原判決が重い麻薬取締法違反の罪によつて被告人を処断したことは原判文上明らかであつて、結局被告人に対する量刑の基準となるべき法条の適用については誤りはないのである。従つて所論の違法は、畢竟判決に影響を及ぼさないこと明白な場合というべきであるから、原判決を破棄すべき瑕疵とはならないのである。論旨は理由がない。
( 註 本件は量刑不当により破棄自判)